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HSコードの正しい調べ方|中国輸入で間違えやすい分類事例とプロの対策

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中国から商品を輸入する際、「この商品のHSコードは本当にこれで合っているのだろうか?」と不安に感じたことはありませんか。
あるいは、「もし間違えていたら、あとで大変なことになるのでは…」と心配になった経験をお持ちの方も多いでしょう。
その感覚は、非常に正しいものです。

HSコードの特定は、中国輸入ビジネスにおいて避けては通れない、重要かつデリケートな作業です。
この記事を読めば、HSコードを自分で正確に調べる具体的な方法がわかります。
さらに、追徴課税や通関遅延といった深刻なリスクを未然に防ぎ、RCEPなどの関税メリットを最大限に活用して、あなたのビジネスの利益を最大化するヒントも得られます。

この記事のポイントは以下の通りです。

アウトライン

  • そもそもHSコードとは?中国輸入における重要性をサクッと解説
  • 初心者でも安心!HSコードの正しい調べ方 3つのステップ
  • 【事例で学ぶ】中国輸入でやりがちなHSコード分類ミス5選
  • 知らなかったでは済まされない!HSコード誤分類の3大リスク
  • もう迷わない!HSコードが特定できない時の対処法
  • 【独自ノウハウ】HSコードを攻めの武器に変える方法
  • まとめ|正確なHSコード特定で、安心・有利な中国輸入ビジネスを

そもそもHSコードとは?中国輸入における重要性をサクッと解説

HSコードは、一言でいえば「国際貿易における商品の共通言語」です。
世界中のほぼすべての国で採用されており、輸出入されるあらゆる商品を品目ごとに分類し、固有の番号を割り振っています。
この番号によって、関税率の決定や、輸入規制の有無の判断、貿易統計の作成などが世界共通の基準で行われているのです。

HSコードの基本構造|世界共通6桁と各国の追加番号

HSコードの基本は、世界共通で使われる6桁の数字です。
この6桁のコードは、国際的な条約であるHS条約に基づいて定められており、どの国でも同じ商品を指します。
しかし、各国は国内の法制度に合わせて、この6桁以降にさらに細かい分類(追加番号)を設定しています。

HSコードの桁数 備考
世界共通 6桁 HS条約で定められた国際的な基準(項)
日本 9桁 統計細分と呼ばれる3桁を追加
中国 10桁 国内管理目的などで4桁を追加
アメリカ 10桁 国内統計目的などで4桁を追加
ヨーロッパ(EU) 8桁〜 CNコード(8桁)、TARICコード(10桁以上)など

このように、国によって桁数や分類の細かさが異なるため、注意が必要です。

中国(10桁)と日本(9桁)のHSコードの違いと注意点

中国輸入ビジネスで特に重要なのが、この中国と日本のHSコードの違いです。
中国のサプライヤーから提示されるHSコードは、中国国内で使われる10桁のものです。
一方で、私たちが日本で輸入申告する際に使用するのは、日本の制度に基づいた9桁のHSコードです。

桁数が違うだけでなく、7桁目以降の分類の考え方が異なるため、中国の10桁コードをそのまま日本の申告で使うことはできません。
サプライヤーから提示されたコードはあくまで参考情報と捉え、必ず日本のルールに基づいて正しい9桁のコードを自分で特定する必要があるのです。
これを怠ると、後述する様々なリスクに繋がってしまいます。

初心者でも安心!HSコードの正しい調べ方 3つのステップ

では、具体的にどのようにしてHSコードを調べればよいのでしょうか。
ここでは、誰でも実践できる3つのステップに分けて、その方法を解説します。
この手順に沿って進めれば、自信を持ってHSコードを特定できるようになります。

【Step1】無料ツールで調べる(税関Webタリフ・JETRO)

まずは、国が提供している無料のデータベースを活用しましょう。
これらは最も信頼性が高く、HSコード特定の基本となります。

ツール名 提供元 特徴 URL
実行関税率表(Webタリフ) 財務省貿易統計 日本の輸入申告で使うHSコード(9桁)と関税率を直接調べられる。キーワード検索が可能。 1
World Tariff JETRO(日本貿易振興機構) 日本だけでなく、世界各国のHSコードと関税率を調べられる。EPA税率の確認にも便利。 2

これらのサイトで、輸入したい商品の一般的な名称(例:「革靴」「LEDライト」)や、素材名(例:「綿」「プラスチック」)で検索をかけてみましょう。
すると、関連するHSコードの候補が一覧で表示されます。

【Step2】商品の仕様から分類の根拠を固める

ツールの検索で候補が見つかったら、次にその分類が本当に正しいか、商品の具体的な仕様と照らし合わせて根拠を固める作業が必要です。
HSコードの分類は、主に以下の要素で決まります。

  • 素材・材質: 商品は何でできているか(例:綿100%、ステンレス鋼、ABS樹脂)
  • 用途: 商品は何のために使われるか(例:照明用、調理用、医療用)
  • 機能: 商品はどのような機能を持つか(例:通信機能、計測機能)
  • 構造: 商品はどのような作りになっているか(例:完成品、部品、半製品)

商品のカタログや仕様書、成分表などを手元に用意し、HSコードの品目名や注釈と照らし合わせます。
「なぜ、このHSコードになるのか」を税関に説明できるだけの客観的な根拠を揃えることが非常に重要です。

【Step3】サプライヤー提示のコードを鵜呑みにしない!確認のポイント

中国のサプライヤーは、親切心から自国で使っている10桁のHSコードを教えてくれることがよくあります。
しかし、前述の通り、これは日本の輸入申告では使えません。
このコードは、あくまで「あたりをつける」ための参考情報として活用しましょう。

具体的な確認方法としては、サプライヤーから提示されたコードの最初の6桁をWebタリフで検索してみます。
そして、その品目名や分類が、自分が輸入しようとしている商品と合致しているかを確認します。
もし大きく異なる場合は、サプライヤーの認識が間違っているか、あるいはそもそも商品が違う可能性も考えられます。

【事例で学ぶ】中国輸入でやりがちなHSコード分類ミス5選

HSコードの特定は、時に非常に複雑で、プロでも判断に迷うことがあります。
ここでは、特に中国輸入において初心者が陥りやすい代表的な分類ミスの事例を表にまとめました。
ご自身の扱う商品と照らし合わせながら、失敗を未然に防ぎましょう。

商品カテゴリ 間違いやすいHSコードの例 正しいHSコードの例 分類理由 間違いによる影響 関税率の差(概算)
衣類
(綿製Tシャツ)
6109.90
(化学繊維製Tシャツ)
6109.10
(綿製Tシャツ)
素材の誤認。綿と化学繊維では分類が異なる。組成情報の確認が必須。 追徴課税のリスク、関税コストの増大。 9% → 無税 (EPA適用時)
電子機器
(LED照明)
8541.40
(発光ダイオード単品)
9405.40
(LED照明器具)
用途と製品状態の誤認。「部品」か「完成品」かで大きく分類が変わる。 関税率の誤り、輸入規制(PSE法など)の見落としリスク。 0% → 3.9%
電子機器
(スマートウォッチ)
8517.62
(通信機器)
9102.12
(腕時計)
製品の「主たる機能」の解釈違い。通信機能より時計機能が主と判断される。 関税率が大幅に変わる。追徴課税のリスク大。 0% → 基本無税
雑貨
(PVC製プールラウンジャー)
3926.90
(その他のプラスチック製品)
6307.90
(その他の紡織用繊維製品)
複数素材からなる製品。表面の素材や製品の特性から繊維製品と判断された事例[3]。 予期せぬ高関税率の適用。 3.9% → 6.1%
機械部品
(ベアリング)
8482.10
(ボールベアリング)
8482.20
(テーパーローラーベアリング)
部品種類の誤認。同じベアリングでも構造や用途によって細かく分類される。 通関の遅延、サプライヤーとの認識齟齬。 無税(両者とも)だが、統計上の不整合で検査対象になる可能性。

事例1:衣類・繊維製品(素材の誤認・混合率の見落とし)

衣類は、素材(綿、羊毛、化学繊維など)や、作り方(ニット製、織物製)によってHSコードが細かく分かれています。
特に、複数の繊維が混ざっている「混紡品」の場合、どの素材が最も重量を占めるかによって分類が決まるため、正確な組成情報の入手が不可欠です。
タグの表示だけでなく、サプライヤーから仕様書を取り寄せて確認しましょう。

事例2:電子機器(完成品 vs 部品、機能の解釈違い)

電子機器は、中国輸入でも人気のカテゴリですが、HSコードの特定が難しい分野の一つです。
例えば、LED照明を「LEDチップ(部品)」として安易に申告すると、税関検査で「照明器具(完成品)」と判断され、関税率が変わるだけでなく、電気用品安全法(PSE)などの規制違反を問われる可能性もあります。
また、スマートウォッチのように多機能な製品は、その製品の「主たる機能」が何か、という解釈によって分類が大きく変わるため、特に注意が必要です。

事例3:プラスチック・雑貨類(材質と用途の複合判断)

プラスチック製品や日用雑貨も、判断が難しいケースが少なくありません。
例えば、上記表の「PVC製プールラウンジャー」の事例では、プラスチック製に見えますが、米国税関では「紡織用繊維の生地で覆われている」という特性を重視し、繊維製品として分類しました[3]。
このように、複数の素材から構成される製品は、どの特性を重視するかで分類が変わるため、過去の判例や専門家の意見を参考にすることが重要になります。

知らなかったでは済まされない!HSコード誤分類の3大リスク

HSコードの誤分類は、単なる事務的なミスでは済みません。
最悪の場合、ビジネスの継続が困難になるほどの深刻なダメージを受ける可能性があります。
ここでは、代表的な3つのリスクを解説します。

① 金銭的リスク:追徴課税・加算税で利益が吹き飛ぶ

最も直接的なリスクが、金銭的な損失です。
本来よりも低い関税率で申告していたことが税関の事後調査などで発覚した場合、不足分の関税を「追徴課税」として支払わなければなりません。
さらに、ペナルティとして「過少申告加算税」や、悪質な場合は「重加算税」が課されることもあります。

過去には、アパレル製品の素材を偽って申告した企業が、数千万円もの追徴課税を課された事例もあります。
せっかくの利益が、たった一つのコードの間違いで吹き飛んでしまうのです。

② 時間的リスク:通関遅延で販売機会を損失

HSコードに疑義が生じると、税関で貨物が止められ、通関手続きが大幅に遅延することがあります。
税関からの質問への回答や、追加資料の提出、場合によっては貨物検査が必要となり、解決までに数週間以上かかるケースも珍しくありません。
その結果、販売計画が狂い、AmazonなどのECサイトでは在庫切れによる販売機会の損失や、顧客からの信頼低下に直結してしまいます。

もう迷わない!HSコードが特定できない時の対処法

自分で調べても、どうしてもHSコードが特定できない。
あるいは、複数の候補があって、どれが正しいか確信が持てない。
そんな時は、一人で悩まずに以下の方法で解決を図りましょう。

最終手段はコレ!税関への「事前教示制度」で公式回答を得る

最も確実で安心な方法が、税関の「事前教示制度」を利用することです[4]。
これは、輸入を予定している貨物について、事前に税関へHSコードの照会を行い、文書で公式な回答をもらえる制度です。
この回答は、原則として3年間、全国の税関で尊重されるため、安心して輸入申告を行うことができます。
しかも、この制度は無料で利用できます。

専門家(通関業者・コンサルタント)に相談するメリット

もう一つの有効な手段は、通関業者や貿易コンサルタントといった専門家に相談することです。
彼らは日々、様々な商品のHSコード分類業務に携わっており、豊富な知識と経験を持っています。

相談先 メリット デメリット
税関(事前教示) ・無料で利用できる
・回答に法的拘束力があり、最も確実
・税関の公式見解が得られる
・回答までに時間がかかる場合がある(数週間~)
・申請書類の準備が必要
専門家(通関業者など) ・迅速に回答が得られる場合が多い
・関連法規や節税のアドバイスも受けられる可能性がある
・複雑な案件にも対応可能
・相談料やコンサルティング費用がかかる
・最終的な分類責任は輸入者にある

専門家に依頼すれば、HSコードの特定だけでなく、関連する法規制のアドバイスや、より有利な関税率を適用するための提案など、ビジネスを有利に進めるための付加価値の高い情報を得られる可能性があります。
私たちのような、30年の経験を持つ中国輸入の専門家も、こうしたご相談を数多くお受けしています。

【独自ノウハウ】HSコードを攻めの武器に変える方法

これまで、HSコードのリスク回避という「守り」の側面を中心に解説してきました。
しかし、HSコードの知識を深めることは、ビジネスを加速させる「攻め」の武器にもなり得ます。
ここでは、その具体的な方法を紹介します。

RCEP特恵関税を使いこなし、価格競争力を高める

RCEP(地域的な包括的経済連携協定)のようなEPA(経済連携協定)を活用すると、通常よりも低い関税率(特恵関税率)を適用できる場合があります。
例えば、通常は3.9%の関税がかかる商品が、RCEPを使うことで無税になるケースも少なくありません。

この恩恵を受けるためには、商品が協定の定める「原産地規則」を満たしていることを証明する必要があり、その際に正しいHSコードの記載が絶対条件となります[5]。
HSコードを正確に理解し、RCEPを使いこなすことで、仕入れコストを削減し、商品の価格競争力を高め、最終的な利益を大きく伸ばすことが可能なのです。

まとめ|正確なHSコード特定で、安心・有利な中国輸入ビジネスを

本記事では、HSコードの正しい調べ方から、よくある分類ミスの事例、そしてリスクを回避し、逆に利益を伸ばすための方法までを解説しました。

  • HSコードは国際貿易の共通言語であり、正確な特定が不可欠です。
  • Webタリフなどの無料ツールと、商品の仕様書を照らし合わせて分類の根拠を固めましょう。
  • サプライヤーの提示するコードは鵜呑みにせず、必ず日本のルールで再確認が必要です。
  • 分類ミスは追徴課税や通関遅延など、深刻なリスクに繋がります。
  • 迷った時は、税関の「事前教示制度」や専門家への相談をためらわないでください。
  • RCEPなどの制度を使いこなし、HSコードをコスト削減の武器に変えましょう。

HSコードの特定は、決して楽な作業ではありませんが、ここをしっかりと押さえることが、安定的で収益性の高い中国輸入ビジネスを築くための第一歩です。
この記事を参考に、ぜひ今日からご自身の商品のHSコードを見直してみてください。

脚注

[1] 実行関税率表(2023年4月1日版), 財務省貿易統計, https://www.customs.go.jp/tariff/
[2] World Tariff, 日本貿易振興機構(JETRO), https://www.jetro.go.jp/world/tariff.html
[3] HQ H298313, U.S. Customs and Border Protection, https://rulings.cbp.gov/ruling/H298313
[4] 事前教示制度, 税関, https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/index.htm#a
[5] RCEP協定, 経済産業省, https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/rcep.html

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こんにちは!中元大輔です。輸入貿易業に30年携わり、中国輸入ビジネスの専門家として活動しています。副業を始めたい方や、売上が伸び悩んでいる方々に、実践的で効果的なアドバイスをお届けします。

「NBCトラストメンバーズ」では、中国側と連携し、信頼関係を重視しながら、Amazonや楽天、ヤフショなどでの商品販売を通じて、安定した収入を得る方法を楽しく学んでいます。

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